平成23年度の消費税法改正によって、仕入税額控除の「95%ルール」が改正されました。
(改正の詳細については、過去の記事をご参照ください)
この、95%ルールの運用について、国税庁から新たなQ&Aが公表されています。
仕入控除税額の計算方法等に関するQ&A【基本的な考え方編】
http://www.nta.go.jp/shiraberu/ippanjoho/pamph/shohi/kaisei/pdf/kihon.pdf
仕入控除税額の計算方法等に関するQ&A【具体的事例編】
http://www.nta.go.jp/shiraberu/ippanjoho/pamph/shohi/kaisei/pdf/gutailei.pdf
今週の税務通信(No3206号)で予告(?)されていた通り、基本編31問、事例編30問、合わせて61問のQ&Aが示されています。
基本的に現行の法令及び通達を踏襲するもので、適用にあたっての留意点を述べるにとどまります。
しかし、下記の問いなどは実務の参考になるでしょう。
【基本的な考え方編】
問14 個別対応方式における用途区分(事業部門ごとの用途区分)
事業部門ごとに業務内容が明確に区分されている場合などは、事業部門ごとの用途区分も認められる。
問19 個別対応方式における用途区分(預金利子がある場合の用途区分)
総務、経理部門等における事務費などは、共通対応分として区分される。
問20 共通対応分の合理的な基準による区分(基通 11-2-19 の適用範囲)
基本通達 11-2-19 (共通用の課税仕入れ等を合理的な基準により区分した場合)を適用する際の留意点を解説。
【具体的事例編】
問6-1 中期国債ファンドの課税関係(課税売上割合)
中国ファンド設定後30日以内の換金は有価証券の譲渡として譲渡対価の5%を課税売上割合の分母に算入。設定後30日経過後は、分配金である利子部分のみが非課税売上として課税売上割合の分母に含まれる。
(ここから先は蛇足ですので、ご多忙な方は読み飛ばしてください)
今回の改正の影響を受けるのは、売上高5億円超の中規模以上の企業です。
この規模の企業になると、相応のITシステムを利用しなければ消費税を集計・申告することはできません。
また、法人税の改正事項は期末の決算作業時までに対応すれば良いのに対して、消費税改正は施行日以降の全ての取引に影響を与えます。
今回の改正では来週の4月1日以後に生じる全ての取引に、適切な課税区分が付与されるようにシステムを改修しなければなりませんから、各社の意思決定や対応は既に完了しています。
したがいまして、3月の最終週を迎えたこの時点で新たな指針が公表されても(それが実務の負荷を緩和するものであっても)、それを会計システムに反映させることは現実的に不可能です。
「直せ!」と言われても、システム開発に携わる我々は、途方に暮れるしかありません。
今国会で提出される消費税法案においては、このようなシステム開発にかかる負荷と期間を、十分に考慮していただけるよう、一担当者として切に願うばかりです。
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