本日3月23日に私の新刊 『一瞬でわかる決算書の読み方』 が発売されます。

この作品は出版20冊目の記念作でもありますが、さらに発売前の先週末時点で増刷が決定しました!
読者の皆様(今回の場合は発注していただいた書店の皆様)にあらためて御礼申し上げます。

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私は、以前に 「12歳でもわかる!決算書の読み方」  
その後 「2時間で丸わかり 会計の基本を学ぶ」  
という書籍を出版しておりますので、

おいおい「12歳」とか「2時間」の次は「一瞬」かよ!

と鼻白む読者(および友人)の顔が思い浮かびます。
さらに、景品表示法 第4条の(不当な表示の禁止)への抵触を懸念される方もいらっしゃるでしょう。

そこで、本日は、なぜこの書籍は「一瞬」で決算書が読めてしまうのか、少々お時間をいただいて説明させていただきます。

【理由 その1】 判型が違う!

今回の作品は正確には「書籍」ではなくMOOKと呼ばれる「雑誌」の一種です。さらにMOOKの判型として主流のB5よりも大きいA4判で作られています。
この判型だから、B/S、P/L、C/Fの財務3表の図表を1枚のページで解説できるのです。
本書の後半では各業界のライバル2社の決算書を比較しているのですが、2社分の財務3表、つまり6枚の図表でも1ページに収められます。
これは、通常の単行本のA5判やB6判では実現できなかった手法です。

つまり、1ページで財務3表をまとめて比較できるから、一瞬で決算書が読めるのです!

【理由 その2】 決算書を図表化する優位性

今回、宝島社さんから執筆依頼をいただいた際に、私はてっきり「別冊 宝島」シリーズで、
「決算書で読み解くプロレス団体の隆盛」とか
「山口組分裂から学ぶ組織再編手法」
といった書籍企画かと興奮していたのですが、当然、そんなもののワケがなくビジネスマン向けの真面目なムックの執筆依頼でありました。

初めての打ち合わせで見せていただいた既刊誌の判型をみたときに、
「この大きさならば財務3表の図表を1ページに収められるなあ」
と気付いたのですが、そこに、大きな問題がありました。

今までの書籍でB/SとC/Fを図表化する手法は考案していたのですが、P/Lだけは図表化していなかったのです。

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そこで、宝島の編集者の方に
「この週末にP/Lを図表化する手法を見つけられたら執筆します」
とお答えし、週末にあーだ、こーだ考えていたところ、窮鼠猫を噛むのたとえどおり、P/Lを図表化する方法が見つかりました!

その名も「P/L時計分析法」!

この時計分析法は本邦初公開の最新のメソドロジーであります!

ということで、執筆依頼をお受けして、無事に原稿もできあがったのですが初校を読んだ編集者から

「B/SとP/Lには分析法の名称があるのに、どうして、キャッシュフロー計算書には名前がないんですか?」  というツッコミが・・・・

そうなんです、キャッシュフロー計算書の図表化は、一般的なウォーターフォール(滝)チャートで済んでしまうため、特に名称を付けていませんでした。
そこで、再度、窮鼠猫を噛む状態で考えた結果、単なる図表化を新たな方法論へ昇華させました!
それが「C/F三段跳分析法」です!

遂に、財務3表に対するメソドロジーがそろったのです。
  「B/S似顔絵分析法」
  「P/L時計分析法」
  「C/F三段跳分析法」

つまり、B/S、P/L、C/Fを図表化するから一瞬で決算書が読めるのです!

【理由 その3】 部分ではなく全体を把握できる 

前作、「12歳でもわかる」も単にインパクトだけでタイトルをつけたわけではなく、その裏付けとして貸借対照表を似顔絵に置き換えるB/S似顔絵分析法という方法論があってのことです。

今までB/S似顔絵分析法について自虐的に「バカバカしい手法」と表現することがありました。しかし、今回の作品の製作過程で気付いたことは、この似顔絵分析法は幼稚な手法に見えますが、ハードカバーの財務分析の専門書で紹介されている個々の財務指標を読み解く手法よりも圧倒的に優れている という点です。

B/Sの静態的分析においては、流動資産、固定資産、流動負債、固定負債、純資産の相対的な関係を把握することが肝要であり、それを 2数間の関係しか表わせない財務指標で理解するのは無理なのです。

具体的な事例を挙げてみましょう。
・有名な財務指標に流動比率があります、これは短期的な支払い義務(流動負債)と支払原資(流動資産)の関係を表わすもので、100%以上が望ましく、数値が大きいほど安全性は高まります。
ちなみに、小宮一慶氏は、ベストセラーの『「1秒!」で財務諸表を読む方法』のなかで、「1秒」で財務諸表を判断するならば、まず流動比率をみるべきとおっしゃっています。

流動比率=流動資産÷流動負債

一方、固定長期適合率という財務指標があります。これは、固定資産分の資金を長期的債務である固定負債と自己資本でまかなえているか否かを判断する指標で100%以下が望ましく、数値が小さいほど理想的です。

固定長期適合率=固定資産÷(固定負債+自己資本)

簡単な事例を見てみます。
次のA社とB社は、どちらの方が安全性が高いでしょうか?

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流動比率は数値が大きいほど安全なので流動比率でみればA社が優れています。
固定長期適合率は数値が小さいほど安全なので固定長期適合率でもA社が優れています。
両指標ともA社が勝っているのですから、A社の安全性が高いのでしょうか。

次に両者のB/S似顔絵を作ってみましょう。

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この似顔絵を見ればわかるように、自己資本の占める割合の大きさ、負債の少なさといった視点から総合的にはB社の方が安全性が高いことがわかります。

また、数字に強い人ならば、流動比率が100%以上(望ましい状態)ならば、固定長期適合率も必ず100%以下(望ましい状態)になることは中学校の数学で証明できますし、感覚的に両数値が補完的な関係にあることを見抜けたかもしれません。

しかし、この似顔絵を見れば、流動比率も長期固定適合率も左目と右眉の関係を表わしているに過ぎず、顔の上側の割合を流動比率、顔の下側の割合を長期固定適合率と呼んでいることが誰でも理解できます。

このように、B/Sの安全性分析に用いる指標は互いに関連性があるのですが、似顔絵分析法を使えば、全体的な関係が一目でわかるのです。

もしも、小宮一慶氏がおっしゃるように「1秒」で流動比率が計算できるのなら、左目と右眉の位置関係をつかむのは、まさに「一瞬」で可能なはずです。

つまり、部分ではなく全体をイメージできるから、一瞬で決算書が読めるのです!

【理由 その4】 決算書を読む手順が組み込まれている 

私が、ここで 「方法論(メソドロジー)」 という単語を使っている理由は、本書における分析法は作図過程で決算書を読む手順も示している点で、単なる図表化と異なるためです。

決算書の読み方には順序があります。各分析法は図表化にあわせて、その順序が自然にわかるように設計されています。

B/S似顔絵分析ならば、 右目⇒左目⇒右眉⇒左眉
P/L時計分析では  短針⇒長針⇒秒針
C/F三段跳分析では HOP⇒STEP⇒JUMP

この順序は 、抽象化の対象物である似顔絵や時計を日常的に利用するときの順序と合致させているため初心者でも忘れることがありません。

B/Sを百分比で表わす手法自体は、従来から様々な書籍で用いられています(私が認識している範囲では、山根節氏の「ビジネスアカウンティング」が初出かと思います)。
しかし、B/S似顔絵分析法では、作図過程においてB/Sを読む順序が組み込まれているため、主要な論点を見落とすことがありません
「ここを見ろ」「ここが重要」といった論点を列挙する手法とは次元の異なるアプローチであることを理解いただければと思います。

(書いてから気付きましたが、最後の理由は、「わかりやすさ」の理由にはなっても、「一瞬」で読める理由にはなっていませんでした。)

かなり長い前口上(ポジション・トーク)になってしまいましたが、発売初日ということでご容赦ください。
後は、皆さんに書店で実物を確認していただくだけです!

【ご注意】
今回の書籍は雑誌扱いのため書籍の会計コーナーには置いてありません。
ビジネス関係の雑誌コーナーをお探しください。

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