本日、3月14日は何の日でしょうか?
多くの方はホワイト・デー、一部の方は数学の日(円周率とアインシュタインの誕生日にちなんで)を連想されると思いますが、我が国の運命を決めた一日でもあります。
慶応4年3月14日、徳川家代表 勝海舟と新政府軍の東征大総督府参謀 西郷隆盛が江戸城開城についての条件を決定する会談が行われました。(この時代は旧暦のため、新暦では4月6日が正確な対応日になりますが、本日のネタということでご容赦ください)
両者の会談の結果、いわゆる江戸城無血開城が実現したのですが、この時の会談が決別し、翌15日に予定されていた江戸城総攻撃を決行されていたならば江戸は血の海に。さらに、欧州列強の干渉によって、我が国の独立も危うかったのではと言われています。
江戸城無血開城
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%B1%9F%E6%88%B8%E9%96%8B%E5%9F%8E
慶応4年は西暦で1868年ですから、今年2017年は
大政奉還 150年 であり、
来年2018年(平成30年)は
明治維新 150年 の節目の年になります。
そこで、本日、御紹介させていただく書籍は
「西郷隆盛の明治」(洋泉社)
「大奥の女たちの明治維新」(朝日新書)
の2冊です。
いずれも作者の 安藤優一郎氏から献本いただいたのですが、朝日新書、洋泉社と異なる出版社から同タイミングの出版であり、作者のご苦労が偲ばれるとともに、明治維新150年のビジネスチャンス(!)にかける歴史書編集者の鬼気迫る思いが伝わります。
私、日本史については門外漢なため(ちなみに共通一次試験の選択も世界史です)、本日は簡単に両誌のご紹介まで。
まず、 「西郷隆盛の明治」は、副題の「激動の10年を追う」にあるように、新政府樹立の立役者であった西郷が、その後、西南戦争によって自決するまでの経緯をまとめています。
教科書では征韓論による政府内の対立が原因と学びましたが、本書で詳細を追っていくと、組織を率いるリーダーのジレンマが、このような悲劇をうんでしまったことがわかります。
もう1冊の 「大奥の女たちの明治維新」 の副題は 「幕臣、豪商、大名―敗者のその後」となっています。
明治維新となると坂本、西郷、勝といった維新の英雄を取り上げる書籍が多い中、本書では明治維新によって敗者側に追い込まれた人々が、その後、明治の時代をどのように生き抜いていったかに焦点をあてています。
大奥篤姫をはじめ徳川家の子孫達の生き様や、江戸から東京にかわった庶民の生活を、様々な文献から探っています。
その中で、女性運動家 山川菊栄氏が母 青山千世氏の見聞を記録した『おんな二代の記』(平凡社東洋文庫)から、前述した西郷隆盛に関する以下の記述が引用されています。
「そのころの西郷の人気はたいしたもので、―というのが、いろいろの意味での個人的不平や社会的不安がそこに大きなはけ口を見出したからでしょうー何がなんでも西郷さんが出なくてはだめだ、どうでも西郷さんに勝たせたい、という声ばかり。」 (p197)
「御茶ノ水の寄宿舎でも、西南戦争は興奮の渦をまき起こし、毎朝の新聞は奪いあいで、「西郷さんに勝ってもらわなければ」、「西郷さんが負けたらどうしよう」という声が高かったものです。いったい西郷さんが勝ったら日本がどうなるのか、どんな政府ができて、どんな政治が行われるのか、誰もそんなことは考えていなかったらしい、と晩年の千世は笑っていました。」 (p200)
これに似た風景は、現代でも多々見受けられるのではないでしょうか。
【追記】
最後になって冒頭のネタに戻りますが、本日紹介すべき書籍は、こちらが適切だったかもしれません。
当著作の詳細については、このブログをご参照ください。
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