先月、フランスのリヨンで開催されたWorldskills2024へ行ってきましたので、以前の台湾韓国に続き欧州の書店事情についてまとめておきます。
まず最初にフランスのパリ。こちらは大都市ですが、街全体が観光地であるため一般的な書店はほとんどありません。パリ市内で一番有名な書店であるシェークスピア&カンパニーも、新刊は小説、ノンフィクション、児童書以外は扱っていません。

パリの中心からセーヌ川を越えたマレ地区には、カフェやブティックなどの個人系の店が増えてきます。そこにLibrairie Comme un Roman という書店を見つけました。

ここは、小説から漫画まで新刊を扱う中型書店なのですが、アートとファッションに注力しているためビジネス書の棚は見当たりませんでした。

パリに続くフランス第2の都市リヨンは、観光地も多いものの近代的なビジネス街です。リヨン・パール・デュー駅の近くに MAISON de la PRESSE があります。ここは、書店というよりも日本のキオスクのような形態でフランス内で600店舗以上あるチェーン店です。
売れ筋の新刊書籍と雑誌、漫画に限定した品ぞろえで、書籍以外に文房具などの雑貨も取り揃えています。

写真を見ていただくとわかるように、店舗内は書籍よりも雑誌の占める割合が大きくなっています。この店舗形態は日本のキオスクやコンビニと同様、雑誌売上に依存するため、早晩、見直さざるを得ないと思われます。(雑誌の種類としてはクイズ系が豊富でした。フランスの方はクイズ好きなのでしょうか?)。

ノートルダム大聖堂で有名なフルヴィエールの丘近辺には古書店街があるのですが、新刊を扱っている書店は見つかりませんでした。

フランスを離れ、お隣のスペイン、バルセロナも視察してきました。
バルセロナもパリと並ぶ観光地ですが、その中心部に Casa del Libre があります。こちらは国内に59店舗を有するスペイン最大の書店で日本の紀伊国屋や丸善書店のイメージです。店舗も巨大で全ジャンルの書籍を品揃えしています。

バルセロナへの到着便が深夜だったためホテル近くのケンタッキーにテイクアウトに行きました。外で物音がしたと思ったら、ガードマンが移民系の人を捕まえて店内に引きずり込み、ガードマンと店員は警察に電話しながらその人をボッコボッコに殴りつけてカウンター内に閉じ込めました。私はかなり動揺したのですが、店員もお客さんも何事もなかったかのように販売を再開しましたので、このようなトラブルは日常茶飯事なのでしょう。というわけでバルセロナ郊外の書店視察については自粛しています。

結局、欧州においても韓国、台湾同様、大型店以外の一般書店はほぼ絶滅の危機にあるというのが現状です。
せめて、我が国だけでも、街に書店がある風景を維持できればと思う次第です。