EIPA(デジタルインボイス推進協議会)から「知識ゼロでも基礎からわかる デジタルインボイス 入門編」(税務研究会)を御恵贈いただきました。

本書は、一般の方々にデジタルインボイスの全体像を理解していただくために、その仕組みについて実際の具体例を交えて解説するものです。初心者の方にもわかりやすいようにA4のムック本で図表を中心に編集されています。

本書編集の中心となっているEIPA(E-Invoice Promotion Association)は、消費税のインボイス制度導入に合わせデジタルインボイスの標準化を目指して2020年7月に大手ベンダー10社が中心となって設立されました(当方も甚だ微力ながらご協力しております)。

消費税のインボイス制度導入時に電子インボイスという用語が使われていましたが、デジタルインボイスという名称に馴染がない方も多いでしょう。 EIPAも設立当初は「電子インボイス推進協議会」という名称でしたが、設立2年目から「デジタルインボイス推進協議会」に名称を変更しました。

これは、EIPAが目指すものが、紙を前提とした業務の単純な「電子化」(Digitization)ではなく、デジタルを前提として業務のあり方自体から見直す「デジタル化」(Digitalization)であることを明確にするためです。

この「電子化」と「デジタル化」の違いについては、下記のデジタル庁の資料にわかりやすくまとめられています。

(本書15ページより。出典はデジタル庁作成資料)

従来、紙でやりとりされていた請求書をPDF化するのが典型的な「電子化」です。これによって郵送などの手間が省かれますが、PDFに記載された情報は受領者側で再入力しなければなりません。紙を前提にした業務プロセスを電子データに置き換えただけではデータ化のメリットは限定されてしまうのです。
それに対して「デジタル化」は、請求書作成側のデータをそのまま受信者へ提供し、受信者側でもデータ処理を可能にします。発生した情報をデジタルのまま流通させることで業務プロセスの抜本的な変革が可能になります。

この「デジタル化」にあたっては異なる事業体も統一して利用するための標準化が重要ですが、EIPAでは、その標準仕様として欧州を中心に利用されているPeppol(ペポル:Pan Europe Public Procurement Online)を選択しました。
EIPAとデジタル庁の尽力により日本におけるデジタルインボイスの標準仕様であるJP‐PINT(Peppol International Invoice Model)がリリースされ、現在では、ベンダー間の相互接続テストも進められています。

デジタル化の考え方自体は、1970年代に汎用コンピュータが導入された当初から目指されていたものです。しかし、それらは大企業を中心とした同業者間の受発注システム(VAN)として発達していったため汎用性を持ち得ませんでした。現在、進められているPeppolを用いたデジタルインボイスは、業種や企業規模にかかわらずデジタル化の恩恵を得られる仕組みになっています。

本書は、このようなデジタルインボイスの全体像を学ぶのに最適な一冊になっています。
また、本書を出版した税務研究会とEIPAが主催するイベントも予定されていますので、現在のデジタルインボイスを体感するのもお勧めです。
【東京会場】10月25日(金)12:00より
【大阪会場】10月30日(水)12;00より
参加申し込み(無料)はこちらのサイトになります。
https://www.zeiken.co.jp/lp/digitalinvoicemook2024/