減価償却方法の変更にあたって、参照すべき法人税基本通達 7-4-4の原文から、主要部分を引用します。
法人税基本通達7-4-4
(定率法を定額法に変更した場合の償却限度額の計算)
減価償却資産の償却方法を定率法から定額法に変更した場合には、その後の償却限度額は、次の(1)に定める取得価額及びu残存価額を基礎とし、次の(2)に定める年数に応ずる償却率により計算するものとする。
(1)その変更した事業年度開始の日における帳簿価額を取得価額とみなし、実際の取得価額の10%相当額を残存価額とする。
(2)耐用年数は、減価償却資産の種類の異なるごとに、法人の選択により、次のイ又はロに定める年数による。
イ 当該減価償却資産について定められている耐用年数
ロ 当該減価償却資産について定められている耐用年数から経過年数(中略)を控除した年数(その年数が2年に満たない場合には、2年)
この通達にしたがって、償却計算を行なおうとすると、通常の減価償却システムではフィットしない部分が2箇所でてきます。
1つ目は、取得価額と残存価額の扱いです。
現行税法における定額法の減価償却費は
減価償却費=(取得価額 – 残存価額)×定額法の償却率
で計算します。本来、取得価額は、各資産にひとつづつ決定されるものですが、この規定にしたがって計算を行なうには、「当初の取得価額」と「変更時の取得価額=変更時の帳簿価額」の2種類が必要です。
変更後の減価償却費を計算するために、「当初の取得価額」を「変更時の取得価額」に単純に置き換えてしまうと、残存価額(当初の取得価額の10%)の算出が出来なくなってしまいます。
この問題を解決するためには、従来の減価償却計算とは異なるロジックが必要になるのです。
(以降、次回に続く)
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